死と向き合うことは今日のハッピーを創ること

市民向け講演会を行いました。

小林です。

昨日12/4(日)中央公民館において、所沢市高齢者支援課に介護保険サービス事業者連絡協議会が協力するかたちで市民向け講演会を行いました。 テーマは「あなたらしく生きるために」 内容は、元気なうちに延命措置の希望の有無や、健康でなくなってからの過ごし方、認知症などで意思表明が難しくなった時の過ごし方を話しあいましょう。 というものです。

市医師会の赤津会長、前医師会長の京谷先生、在宅医の福本先生、西部消防局の方からの講話と、 参加された市民の方との質疑応答を行いました。 講演者からは、次にようなお話がありました。

「介護や医療の専門職の周りでは、毎日のように人が死んでいきますが、 上手に死ぬためにはそれなりにすべきことがあります。 エリザベス女王の葬儀は『ロンドン橋作戦』として 60年前から計画されていました。このように生前からの計画が大切です! 計画の際は、命の寿命、健康寿命、資産寿命、この三つを念頭に整理していきましょう。」

「『延命措置は要らない』という本人の言葉だけでは、いざというとき発見者や家族はかならず救急車を呼んでしまいます。 救急隊・医師は、苦痛を伴う救命措置・延命措置をせざるを得ません。前もって正式な書類を準備しておけばそれは避けられます。 そういった意思表明のことを『DNAR』といい、決まった条件を満たしていないと心肺蘇生を中止することはしません。 胸骨圧迫(心臓マッサージ)を施すとだいたい肋骨が折れます。そのような苦痛を伴う処置なのです。 責任問題や訴訟リスクの時代。阿吽の呼吸は残念ながら使えなくなってしまいました。

死ぬことを話題にすることを避けていると、最期にとても苦しむ場合があります。」 さらに 「苦しみを避けるためだけでなく、死に方を準備することは死ぬまでの生き方をハッピーにするために大切です。 そのための、『訪問診療』というサービスなどが今充実しつつあるので是非活用してください。 臨時的に行う『往診』と違い、『訪問診療』は計画的に、継続的に自宅で診療が受けられますし、 死に際の準備もケアチームが一緒に考えてくれますよ」 そんな講演者からのお話でした。

市民の方も真剣に当事者としての切実な質問をされたり、 地域で高齢者の見守りの活動をしている中で感じる、個人情報の壁を問題提起されるなどの前向きな提案もあり、 このようなテーマの講演なら、社会福祉協議会や地域包括支援センターの方がひな壇にいる方が良いのではとのご意見もありました 医師会の方、西部消防局の方、福祉部の方、連携支援センターの方、サ事連の方、地域ケアの会の方、 ご参加の多くの市民の皆様、お疲れ様でした。 『死』と向き合うことは、今日をハッピーに生きることにつながります。

未来のことはわからない。

しかし生まれてきたからには死ぬことだけは確実です。

なのに「いつ」死ぬかがわからないから悩むことを先延ばしにしてしまう。

有名な仏教のたとえ話に「雪山の寒苦鳥」というお話がありますが、よくよく吟味すべきであると感じました。

そして、日々生死と向き合う私たちだからこそ、このような話題を避けずに発信していく使命があると考える一日でした。

 

(参考資料) 「私の意思表示ノート」(埼玉県) https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/151408/11watashinoishihyoujinoto.pdf


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です